冬にすべき車のメンテナンスや点検は? 事前の準備で安全運転につなげよう
冬になると路面に積雪や凍結が発生するため、より安全な運転が求められます。冬に安全な走行を行うには、運転技術だけではなく事前の点検や準備も大切です。点検をしておくことで冬に発生する交通事故のリスクや、車についてのトラブル軽減が期待できるでしょう。
この記事では、冬にやっておきたい車のメンテナンスや、冬だからこそ起こり得る車のトラブルについて解説します。
冬にやっておきたい車の8つの点検箇所
冬にチェックしておきたい車の点検箇所は、以下のとおりです。
● タイヤ
● バッテリー
● ヘッドライト
● エンジンオイル
● エアコン
● 車体
● ウォッシャー液
● 冷却水
次で詳しく解説します。
1.タイヤ
冬になると車のタイヤをスタッドレスタイヤに履き替える人も多いでしょう。スタッドレスタイヤは、ノーマルタイヤよりも柔らかいゴムを使用しており、冬の雪道や凍結した路面であっても安全な走行が可能です。
注意すべきなのは、スタッドレスタイヤを履いたからといって、雪道や凍結した路面を走行できるわけではないという点です。スタッドレスタイヤは溝の深さが50%を切ると、ブレーキ性能の低下やスリップのリスクが高まります。そのため購入時からしばらくたっている場合は、溝の深さが50%を切っていないかを確認しましょう。
溝の深さが50%を切っているのかは、プラットホームと呼ばれる部分が露出しているかどうかで確認できます。深さが50%を下回ると、プラットホームが露出してきます。プラットホームが露出している、または露出しそうな状態であれば、タイヤ交換をしましょう。
一般的にスタッドレスタイヤの寿命は3年から5年ほどとされています。しかし、使用状況によってタイヤの摩耗スピードは異なるため、使用年数に加えてプラットホームが露出しているかどうかで判断するのがおすすめです。
傷や空気圧にも注意
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤと同じく、ゴムの状態や空気圧にも注意が必要です。ゴムが硬くなってしまったり、ヒビが入ってしまったりすると安全な走行が難しくなる可能性があります。
また空気圧が低いと、燃費の悪化につながります。反対に空気圧が高くなると、乗り心地が悪くなったりタイヤのグリップが低下します。ゴムの状態、空気圧ともに出発前点検をすることと、整備工場やガソリンスタンド、カー用品店などでの点検を利用することで、チェック可能です。
2.バッテリー
バッテリーは次の3つを確認します。
● 寿命
● バッテリー液の残量
● 電圧・能力
バッテリーの能力は気温に応じて変化し、寒くなればなるほど能力も落ちていってしまいます。そのため、冬はしっかりとバッテリーの状態を確認しておきましょう。
以下で詳しく解説します。
寿命
バッテリーの寿命は一般的に2年から5年ほどとされています。高価なバッテリーであっても5年ほどが寿命です。バッテリーには上部もしくは側面に、製造年月の打刻やシールが貼られています。そのため、記載された製造年月から起算して寿命に達していないことを常に把握しておきましょう。
バッテリー液の残量
バッテリー液の残量も確認しておきましょう。バッテリーの側面には目盛りが付いています。バッテリー液が目盛りを下回っているのであれば、補充液を足す必要があるため、年に一度は確認しましょう。
なお、高性能のバッテリーやメンテナンスフリーとなっているバッテリーは補充できないケースがあるため、バッテリーそのものの交換が必要です。
電圧・能力
バッテリーの電圧や能力は専用の機材(バッテリーテスター)を使って計測します。自宅に所有していない人の方が多いと思いますので、車検を依頼した整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドなどで確認してもらいましょう。
3.ヘッドライト
冬は日照時間が短いため、ヘッドライトを使用する時間も長くなります。ヘッドライトが点灯するか、レンズ・カバーに割れや曇りなどの損傷がないかを日頃から確認しておきましょう。
ヘッドライトが故障した状態で走行すると、整備不良として違反点数が1点 、反則金が7,000円 科せられる可能性があります(※)。
4.エンジンオイル
エンジンオイルの中には、気温の低さに反応して硬くなり、機能が低下してしまうものがあります。寒冷地に住んでいる、もしくは寒冷地に行く予定があるのであれば、寒さに強い粘度のエンジンオイルを選ばなければなりません。
エンジンオイルの粘度を確認する際は、「○○W-○○」と表記されている箇所の、Wの前の数字に注目してください。例えば10Wのエンジンオイルであれば-20℃まで、5Wであれば-30℃まで粘度を保つことが可能ということになります。またWの前の数字は、小さいほど寒さに強くなります。
5.エアコン
冬になると車内を暖めるために、エアコンを使用するケースが増えるでしょう。その際にフィルターにゴミやホコリが付いていると、効きが悪くなる可能性があります。
また、フィルターを手入れしていないとカビが繁殖してしまい、エアコンのスイッチを入れるとカビ臭さを感じることもあります。冬にエアコンを使用する場合は、あらかじめフィルターを掃除または交換しておきましょう。
6.車体
冬は車体の下部分を小まめに清掃することが大切です。冬になると、高速道路などに凍結を防ぐための融雪剤が撒かれます。融雪剤は車体のサビにつながる可能性があるため、知らない間に車体が錆びによる腐食で劣化してしまう恐れがあります。
高速道路を走った後は、コイン洗車場などで高圧ホースを使用して隅々まで掃除しましょう。
7.ウォッシャー液
ウォッシャー液はワイパーでフロントガラスを拭く際に用いられる、洗浄用の液体です。冬になるとウォッシャー液が凍ってしまい、噴射しようとしても機能しなくなることがあります。そのまま放置すると、フロントガラスの汚れが十分に取れず、視界不良で事故につながりかねません。
ウォッシャー液を凍らせないためには、濃度の濃いものか、原液を補充しましょう。またカー用品店では、冬用のウォッシャー液も販売されています。
8.冷却水
冷却水とはエンジンを冷やすための液体で、一般的に長期間使用できるロングライフクーラントが使われます。ロングライフクーラントには凍結を防止するための添加剤が含まれていますが、濃度によっては凍結する恐れもあります。冷却水が凍結してしまうと、エンジンの損傷につながります。濃度の確認や交換は整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドなどで行ってもらいましょう。
自分で補充や交換をする場合、市販のロングライフクーラントは水で薄めて使用する場合が一般的ですが、凍結を防ぐためには、薄める濃度を説明書で確認しましょう。
冬に車のメンテナンスをしていないとどのようなトラブルが起きる?
冬に車のメンテナンスをしていないと、次のようなトラブルが起こる確率が高まります。
● エンジンオイルが固まって走行できない
● バッテリーの性能が低下する
● 冷却水が凍結したことでオーバーヒートする
● フロントガラスが凍結する
以下で一つずつ解説していきます。
エンジンオイルが固まって走行できない
冬にエンジンオイルが固まってしまうと、エンジンが作動しにくくなってしまいます。場合によってはエンジンが全くかからず、走行できないというトラブルが起きる可能性があります。無理にエンジンを作動しようとすると、バッテリーにも負担がかかってしまい、劣化を早める原因となるので注意しましょう。
バッテリーの性能が低下する
冬はバッテリーの性能も低下しやすい季節です。バッテリー性能が低下してしまうと、車の様々な電装品への電力供給が不足する場合があります。冬の夜道の走行ではヘッドライト以外にもエアコンなども使用するため、ヘッドライトへの供給電力が不足するため、明かりが弱くなる場合があります。冬の夜道でヘッドライトが暗いと、交通事故につながる恐れがあり危険です。
また、性能が低下したバッテリーはエンジンが始動できないバッテリー上がりに繋がります。冬場は気温の高い時期に比べ朝のエンジン始動時にかかるバッテリー負担が大きいため、弱ったバッテリーはバッテリー上がりを起こしやすくなります。
こうしたエンジントラブルはもちろん、ヘッドライトの明るさを維持するためにも、冬は適切なバッテリーの手入れが求められるでしょう。
冷却水が凍結したことでオーバーヒートする
冷却水は、エンジンを冷やす役割を担うラジエーターという部品とエンジンを循環しています。この冷却水が凍結すると、エンジンを冷やす機能が停止してオーバーヒートという故障が起こる可能性があるので注意しましょう。また、冷却水の凍結は冷却水通路の部品を破損させ、水漏れに繋がる恐れもあり、これもオーバーヒートの原因となります。
エンジンがオーバーヒートすると、エンジン内部の部品がこすれあって焼き付いてしまい、重大な故障につながり、修理には多額の費用が必要となります。
フロントガラスが凍結する
冬はフロントガラスの凍結にも注意が必要です。急な気温の低下や大雪によって、フロントガラスが凍結したり、雪に覆われてしまったりといったトラブルが発生します。
フロントガラスが凍結した場合は、ウォッシャー液とワイパーで対処できるケースもあります。しかし、ワイパーやウォッシャー液が凍ってしまっていると使用できなくなるため、解氷スプレーを活用してみましょう。
他にも次のような方法があります。
● エンジンをかけて溶かす
● ぬるま湯をかける
● スノーブラシを活用する
下記にて詳しく説明します。
エンジンをかけて溶かす
エンジンをかけてデフロスターをオンにすると、フロントガラスの凍結が溶けるケースがあります。デフロスターとは、フロントガラスの曇りを取る機能です。ただ、エンジンの冷却水温度が上がるまでは曇りは取れないため、エンジン始動直後にすぐ曇りを取ることはできませんのでしばらく時間がかかります。
ぬるま湯をかける
フロントガラスにぬるま湯をかけることでも、凍結を溶かすことができます。高温のお湯をかけると、急激な温度の変化でガラスが割れてしまう可能性があるので、注意が必要です。
スノーブラシを活用する
フロントガラスに薄い霜が張っている程度であれば、スノーブラシで除去することができます。スノーブラシのヘラ部分を使って、霜を取っていきましょう。ただし、ヘラ部分の材質によってはフロントガラスを傷付けてしまう恐れがあるので、慎重に行ってください。
冬のトラブルを避けるために車のメンテナンス準備を進めよう
冬になると気温が急激に低下することで、エンジンオイルが固まって走行できない、バッテリーの機能が低下してエンジンがかからないなどのトラブルが発生する可能性があります。このようなトラブルを避けるために、車のメンテナンスの準備を進めて、安全運転を目指しましょう。