車検をクリアする最低地上高とは? 測定方法や注意したいポイントを解説
車好きの方の中には、走行性能の向上や見た目のかっこよさを高めるために、カスタマイズしてローダウンしている方もいるでしょう。しかし、道路運送車両の保安基準には最低地上高に関する取り決めがあります。この最低地上高の基準を満たしていないと、車検をクリアしないどころか、公道の走行ができなくなってしまいます。最低地上高はどのくらいで、どのような点を注意しておけば良いのでしょうか。
本記事では車検をクリアするために知っておきたい最低地上高の概要や測定方法、注意点、最低地上高の確認でチェックしたいパーツをご紹介します。本記事を参考にして愛車のスタイリッシュさを維持しつつ、車検をクリアできるカスタマイズを楽しみましょう。
最低地上高とは?
最低地上高は、水平な地面に車を置いた状態で、地面から車に固定されているパーツの最も低い箇所までの垂直距離を指します。
国土交通省が示す「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」によると、自動車の最低地上高は9cm以上 必要とされています(※)。これは車の走行中、凹凸のある道路やかまぼこ型の踏切でも車体の低い部分にあるパーツが傷つかないように設定されている値です。安全な走行に欠かせない基準であるため、車検の際も最低地上高が9cm以上確保されているかどうかが検査されています。
基本的にカスタマイズをしていない状態の車(ノーマル車)は、最低地上高をクリアするように設計されています。
最低地上高の測定方法
では最低地上高はどのようにして測定すれば良いのでしょうか。
最低地上高を測定する際は、車の下側にある車体と地面の隙間を巻き尺などで測ります。水平な地面から車体までを測った距離が最低地上高になります。測定した値の1cm未満は切り捨てです(※)。
最低地上高を測る際の条件
最低地上高は前述した通り、水平な地面に車を置いた状態で、地面から車に固定されているパーツの最も低い箇所までの垂直距離を指しますが、測定する際にはいくつか条件が定められています。4つの条件をご紹介します。
車を空車状態にする
最低地上高を測定する際は、車を空車状態にする必要があります。
人や物を載せている状態では、重量で車体が下がってしまうので、正確に最低地上高を計測できません。そのため測定時は人や物を載せていない空車状態にする必要があります。
ただし走行に欠かせない、装備や燃料、潤滑油、冷却水などは搭載している必要があります。
タイヤの空気圧を規定値にする
最低地上高を測定する際は、タイヤの空気圧を規定値にしなければなりません。
タイヤの空気圧は車によって規定値が定められています。タイヤの空気は徐々に抜けていきますが、規定値より少ない状態ではタイヤが潰れて車体が低くなってしまうため、正確な最低地上高を測れません。
最低地上高をクリアしようとして空気圧を規定値よりも上げる方もいますが、車検の際には規定値に調節されるので、場合によってはクリアできなくなってしまいます。
車高調整装置がある車は標準の位置で測定する
エアーサスペンション(エアサス)など、車高調整装置がある場合、標準の位置(中立)で測定する必要があります。
ただし、任意の高さで車高を保持できる車高調整装置が搭載されている車の場合、最も車高を高くした位置と最も低くした位置の中間に設定した状態で、最低地上高を測定しなければなりません。そのため最も車高が高くなる位置でしか最低地上高をクリアしていない場合は、車検には通らない可能性が高いです。
舗装された平面で測定する
最低地上高を測定する際は、舗装された平面で測定する必要があります。
舗装されていない場所では、凹凸や段差の影響を受けるため、正確な最低地上高が測れないためです。坂道での測定も車と地面が平行にならない可能性があるため、必ず傾斜のない場所で測定しましょう。
最低地上高の注意点
最低地上高は基本的に9cm以上あれば車検をクリアできますが、いくつか注意しておきたい点もあります。
測定の対象にならないパーツがある
地上最低高は「水平な地面に車を置いた状態で、地面から車に固定されているパーツの最も低い箇所までの垂直距離」です。そのため固定されていないパーツや車の保安面から考えて有効だとされるものは、最低地上高を測定する際の対象とはなりません。測定の対象にならないパーツには以下のものがあります。
● タイヤと連動して上下するブレーキ・ドラムの下端、緩衝装置のうちのロア・アーム等の下端
● 自由度を有するゴム製の部品
● マッド・ガード、エアダム・スカート、エア・カット・フラップ等であって樹脂製のもの(エアロパーツ等)
ただしエアロパーツの場合、パーツが樹脂製でもフォグランプなどの灯火類が埋め込まれていないことが条件です。
また、自動車の下面が「衝撃に十分耐える構造」及び「アンダーカバー等が装着されている構造」の場合、その部分の最低地上高は5cm以上あれば問題ないとされています(※)。
最低地上高10cm以上が必須の車もある
基本的に最低地上高は9cm以上に設定されていますが、10cm以上が必須の車もあります。
最低地上高10cmが必須なのは、ホイールベースが300cm以上の車です。ホイールベースが350cm以上になると、最低地上高は11cm以上必要になります。
また前輪の中心から車体の最も前方部分までの「フロントオーバーハング」、後輪の中心から車体の最も後方部分までの距離の「リアオーバーハング」が73cm以上あれば最低地上高は10cm以上、82cm以上あれば最低地上高は11cm必要です。
灯火類の高さにも基準がある
高さの基準が定められているのは最低地上高だけではありません。
初年度登録が2006年以降の車の場合、水平な地面からフォグランプやウィンカーランプなどの取り付け高さの基準も定められています。
「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」によると、フォグランプは下縁の高さが地上から25cm以上、ウィンカーランプは下縁の高さが地上から35cm以上でなければなりません(※1)。リフレクターはフォグランプと同じく25cm以上、ブレーキランプ、テールランプはウィンカーランプと同じく35cm以上に定められています(※2)。
ローダウンの際は最低地上高だけではなく、これらのランプ類の取り付け高さが基準を下回らないように注意しましょう。
車体の最低地上高の確認でチェックしたいパーツ
車体の最低地上高を確認する際に特に注意したいのは、以下のパーツです。
● マフラー
● オイルパン
● サスペンションメンバー
● デフケース
これらのパーツを交換していない車であれば、基本的に問題ありません。ただし交換している場合は、これらのパーツが原因となって最低地上高が不足し、車検に通らないことがあるので注意してください。マフラーはサイレンサー部分、オイルパンは膨らんでいる部分、サスペンションメンバーはボルト部分の地面からの高さを特にチェックしておきましょう。
最低地上高の意味を知りカスタマイズを楽しもう
本記事では車検をクリアするために知っておきたい最低地上高の概要や測定方法、注意点、最低地上高の確認でチェックしたいパーツをご紹介しました。車検で最低地上高がクリアできなかった場合、部品を交換したり空気圧を調整したりして車高を上げる必要があります。車高を上げてしまうとアライメント調整なども必要になってコストが掛かってしまうので、カスタマイズでローダウンする際は最低地上高を割らないように気を付けてください。
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