車検時にエンジンはどの部分を見られる? 車検にひっかからないための注意点を解説
車検でのエンジンルームの点検は、車を利用する場合には欠かせません。しかし車検だけではなく、日頃の整備や異常時の対処など、所有者として責任を持った行動も大切です。本記事では、車検時にエンジンルームで見られる部品や、普段から注意すべき点を解説します。車検でひっかかることのないよう、点検をしてみましょう。
車検時にエンジンまわりで見られる部分
車検時の点検箇所の一つに、エンジンルームがあります。エンジンルームはボンネットを開いた場所で、運転のために欠かせない重要な部分です。定期的なメンテナンスを行わないと火災が起きる恐れもあるので、車検で丁寧に見てもらう必要があります。
車検時にエンジンまわりで見られる点検箇所は、次のとおりです。
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点検箇所 |
液体系 |
● エンジンオイル ● ブレーキオイル ● 冷却水(クーラント液) ● ウィンドウォッシャー液 |
冷却系統部品 |
● ラジエーター |
電気系統部品 |
● バッテリー ● スパークプラグ |
フィルター系 |
● オイルエレメント ● エアフィルター |
燃料系統部品 |
● フューエルホース |
その他 |
● ベルト類 |
それぞれについて詳しく解説します。
エンジンオイル
エンジンオイルはパーツの摩擦を抑える潤滑油としての役割やオーバーヒートを防ぐ冷却作用、洗浄作用、密封作用などの役割があります。そもそもエンジンの稼働時には金属同士の摩擦が生じるため、摩擦を抑えるエンジンオイルが欠かせません。エンジン稼働で発する高熱も、エンジンオイルの冷却作用によって適切な温度に保てます。
なお、エンジンオイルは、走行距離や使用期間によって交換が必要です。定期的にエンジンオイルを交換すればエンジンの摩耗や焼き付けなどの故障の発生を防ぐことができるので、あらかじめエンジンオイルの交換時期を確認しておくとよいでしょう。
エンジンオイルの交換時期の目安は以下のとおりです。オイル交換先によっては、次回のオイル交換のタイミングをシールに記載して、車体の扉などに貼ってもらえるので次回交換の目安にしましょう。
● 前回の交換から3,000km~5,000km走行しているか(車種により異なる)
● 前回の交換から3カ月〜6カ月経過しているか(車種により異なる)
● エンジンオイルが黒く汚れていないか
● エンジンオイルの量が上限と下限の印の間に収まっているか
ブレーキオイル
ブレーキオイルは、ドライバーがブレーキペダルを踏んだ力を四輪のブレーキに伝える役割があります。水分を吸収しやすい性質があるため、劣化すると沸点が低くなってしまいます。沸点が低くなると長い下り坂などでブレーキを多用した時ブレーキが効きにくくなり、重大な事故につながる可能性があります。また、ブレーキオイルが劣化するとブレーキのゴム部品を傷めてしまいブレーキオイル漏れの原因ともなりますので定期的に検査しましょう。
車検時のブレーキオイルのチェックポイントは次のとおりです。
● ブレーキオイルの色が茶色や黒色っぽくないか
● ブレーキオイルの量が上限と下限の印の間に収まっているか
● 前回の交換から2年以上経過していないか
エンジンオイルのように交換が必要かどうかの判断がしづらく、自動車メーカーの指定交換時期が初回3年、以降2年ごとになっているため、車検時に交換するのがおすすめです。
冷却水(クーラント液)
冷却水はエンジン内部の熱を冷却して、オーバーヒートを防ぐ役割があります。一般的な冷却水はメーカーの指定交換時期が初回3年、以降2年ごととなっています。
そのため、車検では冷却水を交換するのが一般的ですが、ラジエーターやゴム部品などの劣化で水が漏れてレベルが下がっていたり、冷却水が汚れていたりする場合は車検を待たずに交換する必要があります。
なお、冷却水は冬場でも凍結しない特殊な液体のため、水道水では代用できません。必ず専用の冷却水を使って交換しましょう。
ちなみに、冷却水の中には5年から10年ほど交換不要な長寿命クーラントと呼ばれる冷却水もありますので、車検時に交換が必要か確認してみるとよいでしょう。
ラジエーター
ラジエーターにはエンジンの熱で高温になった冷却水を、再度冷やして循環させる役割があります。炎天下でも冷却水を冷却でき、オーバーヒートを防げるのは、ラジエーターのおかげです。ラジエーターが劣化すると冷却水漏れや冷却通路の詰まりなどでエンジンの温度が上がりすぎるオーバーヒートが起こる恐れもあるため、次のポイントが見られたら車検を待たずに点検に行きましょう。
● メーターの水温警告灯が点灯している
● 冷却水の特有の甘い匂いがする
● ラジエーターのホースの破損がある
軽自動車では6〜10年、普通車では8〜12年を目安に交換や修理になる場合が多いです。冷却水を定期的に交換していれば、ラジエーターも長持ちするでしょう。
バッテリー
車に搭載されているバッテリーはエンジン始動やライト、カーナビ機器などを利用するために使われます。走行距離や使用頻度によって異なりますが、2〜3年を目安に交換する必要があるので、車検で交換するのが一般的です。普段の運転で下記のような症状が見られたら、交換の必要があるでしょう。
● エンジンがかかりにくい
● 窓の開閉が遅い
● アイドリングストップが機能しない
電気部品が作動しにくくなった場合は、バッテリーの劣化が考えられます。車検ではバッテリーの充電機能や液量、エンジンの始動性テストなどでバッテリーの状態を確認してもらえるでしょう。
スパークプラグ
スパークプラグはエンジンが運転中に燃焼室に吸い込んだ空気と燃料の混合気に火花を飛ばして燃焼させる役割があります。エンジンのかかりが悪い、加速時にスムーズに回転が上がらないといった問題があれば、スパークプラグの劣化や故障が考えられるでしょう。スパークプラグは消耗品のため、下記に該当すれば交換となる可能性があります。
● メーカー基準の走行距離を超過して走行している
● エンジンがかかりにくい
● 加速時にスムーズに回転が上がらない
自動車のメーカーや車種によって異なりますが、一般的には1万〜2万km、白金プラグやイリジウムプラグなどの長寿命タイプは10万km走行したら交換すべきだといわれています。車に搭載されているタイプを確認し、走行距離を目安に対処するとよいでしょう。
オイルエレメント
オイルエレメントはエンジンオイルをろ過するフィルターで、金属片や汚れを取り除いてきれいな状態を保つ働きがあります。オイル交換と同時に交換しなければならないため、オイル交換を依頼する際に「オイルエレメントの交換も実施しますか?」と整備士から提案されるのが一般的です。オイルエレメント交換のタイミングは、オイル交換の2回に一度のペースが目安だといわれています。
交換を怠るとフィルターが詰まり、エンジンオイルのろ過性能が低下しますので、エンジン内部の摩耗が早くなります。そのため、最悪の場合はエンジンの焼き付きやオーバーヒートにより火災を引き起こす可能性もあるため、車検以外にも適切なタイミングでの交換が必要です。
エアフィルター
エアフィルターは、エンジンに取り込む空気からゴミやホコリを取り除くフィルターです。汚れを取り除く役割のため、次第にフィルターの目が詰まってしまい、燃費やエンジン性能が悪化していきます。
メーカーや車種によって異なりますが、前回の交換から2〜3万km走行したら、交換の時期を迎えます。車検に合わせて交換するのが一般的です。
フューエルホース
フューエルホースとはガソリンをエンジンに供給するためのホースです。ゴム素材でできているので、エンジンの熱で劣化しやすいでしょう。次の様子が見られたら、交換が必要です。
● ひびが入っている
● へこんでいる
● 膨らんでいる
フューエルホースが破損するとガソリンが漏れる恐れがあります。最悪の場合は火災も起きるため、車検で確認してもらいましょう。
ベルト類
エンジンルームのベルト類はゴム素材でできているため、エンジンの熱や使用状況によって劣化していきます。下記のような状態であれば交換が必要です。
● 「キュルキュル」「キーキー」というようなベルト鳴きが聞こえる
● ベルトの張りが緩い
● ベルトにひび割れが見られる
ベルト類は消耗品ですが、放っておくとオーバーヒートやエンジン停止、エアコンやパワステが効かないなどの恐れもあるため、車検でしっかりと点検する必要があります。
国土交通省が推奨する日常点検とは?
国土交通省も、車の日常点検項目シートを活用したマイカー点検をおすすめしています。エンジンルームに関わるのは、次の5点です(※)。
● エンジンオイルの量
● 冷却水の量
● バッテリー液の量
● ブレーキオイルの量
● ウィンドウォッシャー液の量
エンジンルーム以外では、車の周りや運転席周辺のチェックが推奨されています。日常点検は日常的に自動車に乗る中で、自分でも行える簡単な内容です。車検は一定の間隔ごとに行うと定められていますが、次回の点検までの安全性を担保するものではありません。運転時の車の状態や走行距離などから判断し、日常点検を実施しましょう。実施の目安は少なくとも1カ月に一度といわれていますが、長距離走行や高速道路の使用の前には安全のため行うと良いでしょう。定期的な点検で、車の寿命を延ばしましょう。
車検時のエンジンまわりの点検を知り日々の手入れも忘れずに
車検時でのエンジンまわりの点検は、重大な事故や車両火災などの故障を起こさないために大切です。事故や火災はときに人の命にも影響を及ぼすので、定期的な点検や車検時に厳しくチェックする必要があります。特に、高熱を発するエンジンは、エンジンオイルや冷却水などを適切に管理しないと各種部品の劣化を進めてしまう可能性があることから注意が必要です。
車検の速太郎では、大事なエンジンまわりの点検も国家資格を持った検査員と整備士がスピーディーかつ無駄なコストを省いた費用で対応しております。さらに、車の状態の説明は工場にてお客様立合いのもと行っており、必要な整備や部品交換、ご不明点などにもご納得いただきながら車検を進めます。エンジンまわりの劣化が不安な方や、車検を控えている方は、お気軽にお問い合わせください。