
車検の受検可能期間は2025年4月からどう変わる? 制度改正の概要や理由を説明
これまで、車検の受検可能期間は有効期間満了日の1カ月前から満了日までの間と定められていました※。しかし、道路運送車両法施行規則の改正に伴い、2025年4月1日より受検可能期間が有効期間満了日の2カ月前から満了日までに拡大されます。
※この期間に受検すると、残存する旧車検証の有効期間を失うことなく、新車検証に更新できるためです。
本記事では、制度変更の詳しい内容や、変更が行われた理由について解説します。
車検の受検可能期間が拡大! 道路運送車両法施行規則の変更内容

道路運送車両法施行規則の改正により、2025年4月1日付で車検の受検可能期間が拡大されることが決定しました。現行の施行規則では、車検の受検可能期間について、有効期間満了日の1カ月前から満了日までと定められていますが、改正後は有効期間満了日の2カ月前から満了日まで受検することが可能となります。
なお、満了日の1カ月前に受検しても、2カ月前に受検しても、車検の有効期限は満了日から2年間です。例えば、自家用乗用車の2回目以降の車検の場合、2025年7月10日に車検の有効期間が満了する自動車について、2025年6月10日に受検した場合と、2025年5月10日に受検した場合では、どちらも次回の有効期限は2027年7月10日となります。
車検の有効期間は受検日にかかわらず、前回の満了日が起点です。制度改正後、従来より1カ月早く受検したとしても有効期間満了日に変更はありません。
車検の受検可能期間が拡大された理由
今回の制度改正により、車検の受検可能期間が拡大された理由は大きく分けて2つあります。
車検需要の分散化
一般的な自家用自動車の場合、車検の有効期限は新車登録日から3年間(以降は2年間)であるため、新車が多く売れる月およびその前月は必然的に車検需要が高まります。
一般社団法人日本自動車販売協会連合会の調査によると、一年を通して特に自動車の販売台数が多くなるのは、中間決算に当たる9月と期末決算に当たる3月です。(※)
各自動車メーカーはそれぞれの決算日までに売上目標を達成すべく、セールやフェアなどを実施して販売台数を伸ばそうとします。消費者側も中間決算および期末決算の時期はメーカーが割引や特典付きのセールを実施することを知っているため、9月や3月を狙って新車を購入するケースが少なくありません。特に3月については、進学や就職などで新生活をスタートさせるのを機に、新たに車を購入する人が多くなることも関係しているようです。
こうした要因によって8~9月および2~3月に車検の満了日を迎える車が増加すると、当然車検需要に偏りが発生し、当該月に車検が混雑する原因となります。「車検を受けようとしたら予約でいっぱいと断られた」というケースも多いことから、車検需要の分散を図るために受検可能期間を拡大することになったわけです。
自動車整備士や自動車検査員の負担緩和
車検に合格するためには、その車が保安基準を満たしていることが必須条件です。保安基準を満たすための点検・整備・修理は無資格でも行えるため、車の所有者が作業を行っても問題ありません。
しかし、自動車の保安基準の項目は多岐にわたり、適合する状態にするには専門的な知識や技術が必要です。そのため、多くの人はディーラーや整備工場、車検専門店などに依頼し、自動車整備士には点検・整備・修理を、自動車検査員には保安基準の適合のチェックをそれぞれ代行してもらうのが一般的です。
ただ、車検需要が高まる時期は、そうした業務を行っている自動車整備士や自動車検査員に大きな業務負担がかかってしまいます。中には残業や休日出勤で対応しているケースも多く、長時間労働の慢性化が大きな課題となっていました。
今回の制度改正によって車検需要が分散されれば、自動車整備士や自動車検査員の業務負担も軽減され、労働環境の改善が期待できると考えられています。
制度改正以降に注意すべきポイント

道路運送車両法施行規則の改正後は、車検を受ける時期に注意しましょう。制度改正後は車検需要の分散化が見込まれますが、当初は制度の改正を知らずに改定前のように受検する方がいる可能性があります。そのため、「需要が分散するから大丈夫だろう」と考えて、従来のように車検満了日の1カ月前に受検しようとすると、混雑に巻き込まれてしまう可能性があります。
特に需要が高まる2~3月、8~9月に車検満了日を迎える車を所有している場合は混雑リスクが高まります。2025年4月以降に車検を受ける際は、満了日の2カ月前から車検が受けられるということを意識して、早めに車検の準備を始めた方が良いでしょう。
制度改正後も、車検の予約はお早めに!
2025年4月からは、従来よりも車検の受検可能期間が1カ月拡大されます。混雑緩和や自動車整備士・自動車検査員の負担緩和を期待したものですが、制度改正直後は受検可能期間の拡大を知らず、従来通り1カ月前から受検する人も多いと予想されます。
2025年4月以降に車検を受ける際、特に混雑が予想される時期に受ける予定があるのなら、満了日の2カ月前になった時点で早めに予約を取ることを心掛けましょう。「車検の速太郎」では、車検満了日の2カ月前よりもさらに早い時期から車検予約を受け付けています。
万一、都合が悪くなってしまった場合でも予約のキャンセルは無料ですので、ご自身の車の車検満了日を確認して、ぜひ「車検の速太郎」で早めの予約を取ってみてはいかがでしょうか。