ユーザー車検前には整備が必要です
ユーザー車検は車検にかかる費用を抑えたいという人が多く利用されています。
インターネット上にはユーザー車検を受ける方法などが詳細に説明されており、そうした説明を読んでいけばある程度誰でも気軽にユーザー車検を受けられるようになったと言えるでしょう。
ですがその車検の手続きのことだけをいくら知ったとしても、それで必ず車検が通過できるというわけではありません。
車検はただ書類がそろえば良いというわけではなく、しっかりとした安全性が保たれていないといけないからです。
自動車の状態をチェック
これは通常の車検、例えばディーラー車検や整備工場、車検専門店での車検の場合はさほど気にする必要が無いことです。
そうした業者に対して手続きを依頼するのであれば、不具合が見つかった段階ですぐ追加整備や部品交換をしてもらうことが出来るからです。
ですが、ユーザー車検の場合はそうはいきません。
この場合は陸運支局に自動車を持ち込んで検査を受け、そこで問題が無いと判断された段階ではじめて検査に合格することができます。
しかし、もしそこで問題があるとされてしまったのであれば、その部分を整備しないと合格を貰うことはできません。
自動車を持ち込む陸運支局はあくまでも試験場でしかありませんから、そこで修理をするということは基本的に不可能だと考えておく必要があります。
このことを踏まえると、よりスムーズに車検を通過するにはやはり事前の整備が必要になるでしょう。
ここでは自動車の改造等を行なっていないことを前提に、車検に合格する確認事項を「外観・内装」、「機能・装置」と「予備検査場(テスター)」に分けて説明します。
※個々の自動車の状態や受検する運輸支局によって、こちらの掲載内容では不十分な可能性もございます。詳しくは受検予定の運輸支局にご確認ください。
外観・内装のポイント
タイヤ
溝の残量、亀裂・ひび割れの有無を確認しましょう。
溝の残量は一番磨耗している箇所を測り、1.6ミリ以上残っているかを確認し、亀裂・劣化によるひび割れなどがないかを確認して下さい。
1.6ミリに満たない場合や、亀裂・ひび割れがひどい場合は、タイヤを交換する必要があります。フェンダー(車体)からタイヤが1cm以上、またはホイールが少しでもはみ出している場合は不正改造車となり、車検が通らないだけでなく、整備命令※などが発令されます。
また、タイヤの空気圧は規定値に調整しておきましょう。
※整備命令とは、自動車が保安基準に適合しなくなる恐れがある状態、または不適合な状態にある時にその自動車の使用者に対し、整備を行うよう命じられることです。この命令に従わない場合は、罰則や罰金が科せられます。
灯火装置
ヘッドライト、テールランプ、ブレーキランプ、バックランプ、ナンバー灯、ウインカー等の全ての灯火装置が点灯しているかを確認しましょう。点灯しない場合は、バルブ(電球)の交換などの修理を行って下さい。
また、バルブ(電球)を被うレンズが破損し、光が漏れてしまっている場合はレンズ自体を交換する必要があります。なお、光の漏れていない損傷(ヒビ)であれば交換の必要がない場合もあります。
また、クリアレンズなど(保安基準外の灯火色)が装着され、実際の灯火の色が規定外と判断された場合は不正改造車と見なされ、整備命令などが発令される場合があります。
ガラス
車のガラスにヒビや損傷がないかを確認しましょう。
ヒビや損傷がある場合は交換もしくは補修(ガラスリペアなど)を行う必要があります。
なお、フロント3面(フロントガラス、運転席、助手席)に検査標章や点検ステッカーなどを除くシールなどを貼られている場合は剥がしておきましょう。
また、フロント3面(フロントガラス、運転席、助手席)に可視光線透過率70%以下のフィルムが貼られている場合は不正改造車となり、整備命令などが発令されますのでご注意下さい。
フロント3面はガラスの内側にカーテンや吸盤で貼り付けるお守りなどもNGとなります。
内装
内装はシートベルトやシートのヘッドレスト、ホーンマーク(ハンドルのラッパのマーク)、ギアパターン([P]、[R]、[N]、[D]などのシフトレバーのマーク)、発炎筒(使用期限内の物)の取り付け具合や有無を確認しましょう。
メーター関係
メーターはエンジン警告灯やシートベルト警告灯、エアバック警告灯などの警告表示灯が点灯していないかを確認しましょう。
点灯している場合はディーラーや整備工場等に持ち込み、接触による不具合なのか?もしくは実際にその部分に不具合が生じているのか?を含め、点検・修理する必要があります。
自動車の機能・装置のポイント
マフラー(消音器)
排気漏れがないかを目視およびアクセルの空ぶかしを行い、排気音を確認しましょう。
排気漏れのある場合はマフラーの交換、もしくはパテ(補修剤)で補修を行う必要があります。
また、社外マフラーを装着している場合は排気音や取り付け位置等、保安基準を満たしていないと違法になります。
ワイパー・ウィンドウォッシャー
ワイパーゴムの劣化や損傷、ワイパーとウィンドウウォッシャー液が正常に動作・機能しているかを確認しましょう。
ホーン(警報器)
ホーンを押して正常に機能しているかを確認しましょう。
また、社外品に交換している場合、音量が規定外(音量が小さ過ぎるもしくは大き過ぎる)ホーンは、車検に通りません。音色が変わるものやドライバーがスイッチで音などを変えられるタイプのホーンもやはり車検には通りません。一般的に「ヤンキーホーン」という、音が継続的に鳴るタイプのホーンも車検は通りません。これはホーンは一定の音で鳴り続ける必要があるからです。「エアホーン」などのエア圧力によって音が変化するタイプのホーンや、音の余韻が響くものも通りません。
ドライブシャフトブーツ
タイヤの内側と車体中央側に付いているゴム製の部品で、前輪駆動車の場合はフロントタイヤの内側と車体中央側に、後輪駆動車の場合はリアタイヤの内側と車体中央側に付いています。
こちらの確認方法は、フロントの場合はハンドルをいずれかの方向に目一杯切り、タイヤ内側と車体中央側を覗き込み、ドライブシャフトブーツに損傷・破れがないかを確認しましょう。リアの場合はハンドルを切ってみることはできないので、車の後方からのぞき込むしかありません。左右に付いていますので、ハンドルを左右交互に切って確認する必要があります。
ステアリングラックブーツ
車体の中央側に付いている、ゴム製の部品のことです。
確認方法はドライブシャフトブーツと同様、ハンドルをいずれかの方向に目一杯切り、フロントタイヤの隙間から車体中央側を覗き込み、ステアリングラックブーツに損傷・破れがないかを確認しましょう。こちらもドライブシャフトブーツと同様、左右に付いていますのでハンドルを左右交互に切って確認する必要があります。
予備検査場(テスター)のポイント
運輸支局の周辺には予備検査場という運輸支局で行う車検項目と同じ内容の検査を車検の本番前に事前に行える民間の有料検査場があります。
車検項目と同じ「サイドスリップの検査・調整」、「各ブレーキ・スピードメーターの検査」、「ヘッドライトの光軸検査・調整」、「排気ガスの検査」を行うことができます。
ただし、地域によっては予備検査場が存在しない場合や業者のみで、一般の方は利用できない場合もありますので、事前に確認しましょう。
サイドスリップの検査・調整
この検査を簡単に説明するとハンドルをまっすぐに保持した状態で自動車を直進させた時に左右に前タイヤがどれくらいずれるのかを測定するものです。1m走行した時の横滑り量が5mmを超えると基準に適合しないとみなされるため、予備検査場のサイドスリップテスターで不合格の判定が出た場合は係員に調整してもらいましょう。
また、このテスターに対して斜めに進入、もしくは途中でハンドル操作をすると正確に測定ができなくなるので、これもまた不合格になります。
さらに前タイヤのトー角※が大きくずれている場合も確実に不合格になります。過去に自動車をぶつけたことがあったり、側溝に脱輪させた経験がある時はトー角がずれている可能性がありますので、事前に最寄の整備工場で調整しておくことをお奨めします。
※トー角とは、車を真上から見た時のタイヤの角度のこと。トー角によって車の走行性能が大きく左右されるため、安全・快適に走行するためにはトー角を適切に調整する必要がある。
ブレーキ検査
前輪・後輪・サイドブレーキの制動力を検査します。
各ブレーキの制動力が基準値を下回っている場合は、調整ではなくブレーキに関する部品の修理・交換が必要となる場合がほとんどです。そのため一般的な予備検査場ではその場で対応してもらえません。
ただ、車検に合格するために修理・交換するべき箇所やその方法を教えてくれる場合もあります。
スピードメーター検査
検査用のローラーの上に自動車を乗せて、スピードメーターが時速40kmになるまでアクセルを踏み込みます。その時に実際の速度とメーターに表示された速度にどれくらいの誤差があるのかを検査します。著しい誤差※がなければ合格の判定になります。
※誤差の許容範囲
・平成19年1月1日以降に製造された車の場合(二輪車等を除く)の場合
30.90〜42.55km/h
・平成18年12月31日以前に製造された車(二輪車等を除く)の場合
30.90〜44.44km/h
ヘッドライト検査
ヘッドライトの光軸・光量・色を検査します。
光量が基準値に達していなかったり、光軸検査ではエルボー点が規定の位置に置かれていないと不合格の判定になります。なお、ヘッドライトの色については保安基準で「白色であること」と規定されています。
排気ガス検査
排出されるガスの有害物質(CO、HC)の数値を確認してもらえます。
排気ガス検査が不合格の判定だった場合、そのままでは車検を通すことができないため、検査の基準値を下回るように改善する必要があります。COとHCの数値がどのくらいなのか把握した上で、原因がスパークプラグの劣化などによる不完全燃焼なのか、エンジン内部のカーボンが原因なのかなど、ある程度原因を探る必要があります。
以上で車検前の自動車のチェックポイントの説明は終わりですが、ご自身のお車の状態や車検を受ける運輸支局によっては掲載している内容では不十分な場合もございます。
疑問や不明な点などがあれば、最寄りの運輸支局にご確認の上、車検に臨んでください。
ユーザー車検は、車検の費用を大きく抑えることができる可能性がありますが、車検前の整備をしっかりと行う必要があります。
自分自身で整備を行うことが出来るというのであれば自宅で行うことが出来ないわけでもありませんが、車体の足回りの確認などの作業になるとやはり相応の設備が必要になってきます。
「車検の速太郎」は車検の専門店です。
車種・年式問わず、検査料金は一律※に設定しております。
また、代行手数料等の無駄な費用はかかりません。
実際にかかる費用総額はユーザー車検に及ばないかもしれませんが、ご自身で整備をしたり、運輸支局にお車を持ち込む労力・時間を考えると、決して引けを取らないと自負しております。
お客様のお車がそろそろ車検ということであれば、ぜひ「車検の速太郎」をご検討ください。
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